Kicadの操作(パターン作成編)ESP32用ブレッドボード変換基板のアダプタをつくる

以前の記事でESP32用ブレッドボード変換基板の回路図が完成させました。今回は、プリント基板(PCB)図面を作成します。

Kicadの操作(回路図作成編)ESP32用ブレッドボード変換基板のアダプタをつくる

パターンをひく

前回の回路図が完成したところから続けます。ツールバーの”Pcbnew (プリント基板のレイアウト) を実行”を選択します。

見本のデータが残っているので、今回の回路図のものにデータを更新します。ツールバーの”回路図から基板を更新”を選択します。

“回路図から基板を更新”ウィンドウが表示されるので、赤枠の設定にして”基板を更新”をクリックします。

次のエラーメッセージが複数表示されました。とりあえず”閉じる”をクリックします。

“未使用のフットプリント P1 を削除することができません。(ロックされています)”

下のように回路図で指定したフットプリントが表示されるので、赤枠あたりに移動させときます。見本のフットプロントのロックを解除して削除します。

見本のフットプリントを選択して右クリック – “プロパティ…”を選択します。”フットプリントのプロパティ”が開くので、”移動/配置”を”フリー”に変更して”OK”をクリックします。他のフットプリントも同様に変更してロックを解除します。

ロックが解除されたので、もう一度、上側の”回路図から基板を更新”を選択します。”回路図から基板を更新”ウィンドウが表示されるので、赤枠の設定にして”基板を更新”をクリックします。

見本のフットプリンを無事、削除できました。基板外形も必要がないので削除します。

基板外形全体を選択して右クリック – “削除”をクリックします。

基板外形が削除されました。

基板外形を新しく作成します。KiCadでは複雑な形状を書くにはつらいので、機械系CADで基板外形を描いて,そのDXFファイルをKiCadにインポートして作成することにします。

ちなみに機械系CADはAR-CADを使用しました。AR-CADの操作方法は省略しますが以下のように基板外形を描きます。

作成した基板外形をDXFファイル形式で保存します。メニューバーの”ファイル(F)” – “エクスポート” – “DXFファイル” を選択してファイル名を付けて保存します。

AR-CADで保存した”DXFファイルをKiCadにインポートします。メニューバーの”ファイル(F)” – “インポート(I)” – “グラフィックをインポート(G)…”を選択します。

“ベクターグラフィックスファイルをインポート”のウィンドウが開くので赤枠内の設定にします。”参照”をクリックしてAR-CADで保存した”DXFファイルを選択して”OK”をクリックします。

以下のように基板外形がインポートできました。

正常に基板外形が出来ているかを確認してみます。メニューバーの”表示(V)” – ”3Dビューアー”を選択します。

以下のように基板が表示されれば正常です。基板外形の線が閉じていない部分があるとエラーになります。

次にヘッダーピンを以下になるように配置します。

ヘッダーピンのフットプリントを選択して右クリック – ”左回転” をクリックします。

ヘッダーピンの向きがこれで、あったので、次にヘッダ-ピンをだいたいの位置に並べてみます。

以下のようになります。回路図のバス配線で指定した端子間が白線で結ばれて表示されます。次にブレッドボードやESP32が取り付けられるようにヘッダーピンの位置を調整します。

ヘッダーピン間の寸法は以下になります。ESP32のピッチ幅はおおよそ2種類あるのでどちらも取り付けられるようにします。ブレッドボードは中心部分に取り付けられるように3ピッチ分(2.54mm * 3ピッチ = 7.62mm)とします。

ピンヘッダの位置をきめる

まず、赤枠部分のピンヘッダーの配置を合せます。J4,J5のフットプリントで右クリック – ”プロパティ…” を選択します。

J4 , J5のフットプリントのプロパティが開きます。X位置を74mmで同じに指定して、Y位置をJ4を107.82mm、J5を100.2mmとピッチ幅が7.62mmになるように合わせます。

これで、J4 , J5のピンヘッダーがブレッドボードに取り付けられる配置になりました。

同様にESP32側もピンヘッダーの配置を合わせます。

これでピンヘッダーの配置は出来ました。M3のマウンティングホールが残っているので、配線を引く前に配置しておきます。

以下のようにマウンティングホールを配置しました。

次は配線の接続を行います。今回の例は手動でも簡単にパターンを引くことはできますが、回路が複雑になってくると手動でひくのにも限界があります。今回は、”自動配線ツール Freerouter“を使用してみます。その前に”基板セットアップ”を行います。ツールバーの”基板セットアップ”を選択します。

“基板セットアップ”の設定ウィンドウが開きます。各設定を以下の赤枠に合わせて”OK”をクリックします。

次に”自動配線ツール Freerouter“に使用するDSNファイルをエクスポートします。メニューバーの ファイル(F) – エクスポート(x) – “Spec ctra DSN (p)…” を選択します。ファイル名が自動的に付けられるので”保存(s)”をクリックします。

自動配線ツール Freerouter“を起動して、”Open Your Own Design”をクリックします。

エクスポートしたDSNファイルを選択して”開く”をクリックします。

“自動配線ツール Freerouter”の”Board Layout”が開きます。メニューバーの”Autorouter”をクリックします。

自動配線が始まります。自動配線が完了するまでしばらく時間がかかります。

自動配線が完了すると、”Postroute completed” と表示されます。

自動配線したデータを保存します。メニューバーの”File” – “Export Specctra Session File” を選択します。ダイアログが開くので”はい(Y)”をクリックします。

“自動配線ツール Freerouter”で作成したデータをKicadにインポートします。メニューバーの”ファイル (F)” – “インポート(I)” – “Specctra セッション(S)…” を選択します。”Specctra セッションファイルをマージ” ダイアログが開きファイルは自動的に選択されているので”開く(O)” をクリックします。

配線データがインポートされます。

3Dビューアーで基板を確認してみます。メニューバーの”表示 (V)” – “3Dビューアー(3)” を選択します。

以下のように配線が引けました。

念のため、配線が問題なく引けているか確認します。右側の”ネットをハイライト”を選択して確認したいパッドをクリックします。接続している配線がハイライトされるので、同様にすべて正常に接続しているかをチェックします。

次に赤枠内のテキストを配置します。

右側の”導体層または図形層にテキストを追加”を選択します。”テキストのプロパティ”ウィンドウが表示されるので、赤枠内の設定に合わせてテキストに”A”を入力して”OK”をクリックします。

“A”が図面上に表示されます。向きが異なるので右クリック – ”左回転”を選択して位置を合わせます。

続けてその他のテキストも入力します。配置する時は2.54mmピッチになるように配置していきます。

以下のように配置します。同じように”a” から “s”までを配置します。見にくいので右側のレイヤーの”F.Cu”と”R.Cu”のチェックを外して配線を消すとテキストが配置し易くなります。

以下のように配置できました。

残りのブレッドボード部分のテキストは、”A”から”S”と”a” から “s”をそれぞれ全体をコピーしてブレッドボード部分にペーストして配置します。”A”から”S”を選択して右クリック – “複製”を選択してブレッドボード部分に配置します。

“a” から “s”も同じように行います。以下のようになります。

最後にESP32のサイズには大まかに2種類あるのでその種類ごとに枠を描画します。

右側の”図形ラインを追加”を選択します。図形ラインが引けるので、以下のように引いて右クリック – “キャンセル” を選択します。ラインを引くときに”ctrl”キーを押しながら引くと直角に引けるようになり便利です。

同様に内側の図形ラインを引きます。

次に図形ラインをダブルクリックして、”配線セグメントのプロパティ”が表示されたら、”レイヤー”を”F.SikS”(フロントシルク)に選択して”OK”をクリックします。他の図形ラインも同じように設定します。

大体のところ、これで完成です。最後に3Dで基板を眺めます。

良い感じです。以上でKiCADの簡単な使い方はおしまいです。この基板はスイッチサイエンスで販売してます。よかったらどうですか。意外に便利よ。

ESP32用ブレッドボード変換基板 – スイッチサイエンス (switch-science.com)

それでわ、パターン作成ばんざい🙌

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