UARTの信号の動作確認をしたいため、LA1010という中華製のロジックアナライザを購入して使ってみました。
Kingst LA1010

Kingst Electronics (qdkingst.com)
スペック
主な仕様は以下です。
Channel Number : 16CH
Max Sampling Rate : 100M@3CH, 50M@6CH,32M@9CH, 16M@16CH
Fastest Digital Signal : 20MHz
Min Pulse Width : 20ns
Max Sampling Rate : 10G Sa/s
Threshold Voltages : -4V ~ +4V
Input voltage range : -50 ~ +50 V
Input impedance : 220 KΩ, 12 pF
PWM channels : 2CH
PWM frequency range : 0.1 ~ 10 MHz
PWM frequency adjust step : 10 ns
PWM output voltage : +3.3 V
PWM output impedance : 50 Ω
Standby current : 100 mA
Dimensions : 95 x 55 x 23 mm
また、計測した信号を以下の通信プロトコルでそれぞれデコードが可能です。
UART/RS-232/485
I2C
SPI
CAN
DMX512
HDMI CEC
I2S/PCM
JTAG
LIN
Manchester
Modbus
1-Wire
UNI/O
SDIO
SMBus
USB1.1
PS/2
NEC InfraRed
Parallel
これだけの機能があって価格は約¥9000という安価さ。
本当に使用できるのかと心配でしたが、実際に使用してみると簡単にUARTの信号を検証できました。
気軽に信号をデコードして、PCで解析したいよって人向けですね。
使用例
最大16ch同時計測が可能です。また、2chのPWM信号(3.3V出力)も出力可能です。

計測データをデコードできます。
CAN

UART

SPI

I2C

また、2chのPWM信号(3.3V出力)を任意の周波数、Duty比で設定して出力することが可能です。

出力ピンをモータドライバにつなげば、プログラム不要でモータを動かせます。購入したモータの初期動作の確認には便利です。
使用するまでの手順
実際に使用した時の手順をまとめておきます。
①ドライバ、ソフトウェアインストール
付属のCDを使ってロジックアナライザLA1010のドライバとアナライザソフトウェアのインストールを行います。付属のCDにKingstVIS_v3.4.2_Windows.exeがあるので、ダブルクリックして立ち上げて手順に沿ってインストールしてください。
以下のURLからもインストーラがダウンロードできます。ロジックアナライザLA1010(Kingst社)のサイトは、英語、中国語で表示されます。
http://www.qdkingst.com/cn/download/vis
②ロジックアナライザソフト起動
インストールが完了するとデスクトップ上に”Kingst VIS”のアイコンができるので、それをクリックしてロジックアナライザソフトを起動します。以下の様に表示されます。

LA1010本体をPCに接続していない場合、”▶”アイコンが黄色で表示されているので、クリックするとデモデータが以下の様に表示されます。

③各チャンネルの設定手順
各チャンネルの設定手順を説明します。
最初にモデルの設定を行います。
”LA1010”をクリックすると以下のモデル選択ウィンドウ”Model Select”が表示されます。
モデルはLA1010になるので”LA1010 – 100MHz,16ch”を選択します。

次に隣の歯車のアイコン”Device Options”をクリックします。すると、チャンネル設定のウィンドウ”Device Options”が表示されます。
今回は、3チャンネル計測するので”CH0~2(Maximum sample rate is 100MHz))”を選択します。
“OK”をクリックして閉じます。

次に計測のメモリサイズ”Sample Depth (Samples per Acquisition)”とサンプリング周波数”Sample rate (Samples per second)”を設定します。それぞれ、”10MSa”、”10MHz”を設定します。計測時間は1秒になります。計測内容に合わせて変更してください。

以下の様に3CH / 10Msa / 10MHzで表示されます。引き続き、計測の設定を説明します。
例としてUARTの信号を測定します。
UARTは、
信号:3.3Vレベル
スピード : 921600bps
データ : 8bit
パリティ : none
ストップビット : 1bit
フロー制御 : 有り (RTS/CTS)
の設定で使用します。
UARTの信号は以下チャンネルで計測します。
0CH : UART_RX
1CH : UART_TX
2CH : UART_CTS
以下の様にアナライザに信号名を登録できます。分かり易いので登録しましょう。

次に信号検出のしきい値を設定します。
I/O Standardををクリックします。
計測するUARTは3.3Vレベルなので、3.3V CMOSを選択します。

④信号の計測
測定準備ができたので、測定対象にそれぞれのプローブを接続します。

“▶”アイコンをクリックして信号を計測します。以下の信号が計測出来ました。

チャンネルの歯車のアイコンをクリックして”Use color for Waveform”を選択すると、波形がカラー表示されます。

⑤信号のデコード手順
次に測定したデータをデコードしてみます。
右側の”Analyzers”の+アイコンをクリックして””UART/RS232/485″を選択します。

0CH : UART_RX のUARTを以下の様に設定します。

同様に1CH : UART_TX も以下の様に設定します。

0CH : UART_RX と 1CH : UART_TX のUART信号がデコードされました。

“Decoded Results”でデコード結果を検索することが出来ます。

以上になります。自分は携帯できるサイズのデジアナとしては、Analog discovery 2とこのLA1010を持っていますが、デジアナの機能に限っていえば、LA1010で十分です。ソフトの使い勝手も癖がなくて、分かりやすいので、おすすめです。
LA1010🙌
私も最近LA1010を購入しました
ムーブメントが壊れてしまったからくり時計を電波時計化するためです
市販されている電波時計ムーブメントの針の動かし方の解析にLA1010を利用しました
電波時計ムーブメントは受信部と針のドライバーだけを利用し、制御部をPICマイコンに
置き換える形でからくり部の制御もできるようにしました
ただ1時間おきにあの音が鳴るとうるさいので、からくりはOFFにしています(笑
ところでKingstVISは英語版でも不自由しないのですが、多言語対応なので日本語化しました
[Language]フォルダにある言語ファイルに日本語版を自作して追加するだけです
自作方法は中国語ファイルとかを開いてみればわかると思いますが、簡単に作成できます