クリームはんだをしばらく使わないでいたら、以下のように乾いてボソボソになっていました。
新品のクリームはんだ(下の写真)と比べると粘度が見た目で違うことが判ります。どうもクリームはんだに含まれていたフラックスが揮発して乾いてしまったようです。
古くなったクリームはんだが使えるか、新旧のクリームはんだをSMD基板にそれぞれリフローして比較してみました。
クリームはんだが劣化すると…
作業をしていて、気が付いた点は、
・ステンシルで印刷時にクリームはんだが硬くて上手く印刷面に入らない。
・基板に印刷されたクリームはんだの粒子が粗い。特に細かい部分はきれいに乗らない。
・リフロー後のはんだ表面が粗く上手くリフローできていない。
下が実際の写真です。ぼそぼそして、仕上がりが悪いですね。
全く同じ製品の新品のクリームはんだで同じ作業をしてみます。下の写真がその結果です。
明らかにこっちの方が、ハンダの面が滑らかで仕上がりがきれいです。これだけみると、古いクリームはんだは使わない方がよさそうです。
ちなみに、クリームはんだの推奨保管温度は4~10℃でクリームはんだに含まれているフラックスが蒸発しない様に使いかけのクリームはんだは容器をラップ等で密閉して冷蔵庫に保存すると良いようです。
今回の古いクリームはんだは常温で密閉せずに保管していたものです。もちろんフタは閉めた状態です。保管期間は半年ぐらい。
フラックス塗布でクリームハンダ復活
クリームはんだは、「はんだ合金粉末とフラックスでおよそ9対1の割合で混ぜ合わされ、塗布するのに適した粘性を保ったクリーム状としている」ようなので、ボソボソになった古いクリームはんだにフラックスを足して復活するか試してみます。
フラックスの成分は?
フラックスを調べると、大きく樹脂系と有機系の2種類があるらしく、樹脂系は天然由来の「松やに(ロジン)」や「合成樹脂」を主成分として、はんだと被着面の表面にある酸化被膜を除去する「活性剤」と主成分の松やにを溶かす「溶剤(有機溶剤)」が配合されています。
日本では一般的に「松やに(ロジン)」を主成分とした樹脂系のフラックスが使用されているようです。一方で、海外では「水溶性フラックス」と呼ばれる有機系のフラックスが使用されることが多いようです。樹脂系の様に有機溶剤を使用しないため環境にやさしいですが、値段は高いです。
そんな訳で、今回は樹脂系のフラックスで試してみます。今回つかったのは以下の商品。
電子部品、PCB用フラックス
HAKKO(白光)社 001-02 容量:70cc
成分
イソプロピルアルコール (50~60%)
ロジン (25~35%)
メタノール (10~15%)
酢酸エチル (1~3%)
購入したPCB用フラックスをボソボソになった古いクリームはんだに様子を見ながら足して混ぜると下のように滑らかさが復活しました。
入れる量は新品の粘性と同じぐらいになるように、調整しています。
このクリームはんだを使ってステンシルで印刷してみると基板にきれいに印刷されリフロー後のはんだ表面もなめらかで問題ないことが分かりました。下の写真がその結果です。
この程度なら、全く問題なく使えそうです。
ゴミ箱にポイする前に、こういう方法をしっておくと、環境負荷の高いゴミを捨てて、地球を汚さなくてすみますね。
クリームハンダの再利用ばんざい。